朝出勤すると、部屋中が甘い匂いに包まれていました。


そう言えば、卒園生に贈る花束を用意していたんだった。


天気は晴れで。
外の温度計は30℃です。
お陰でﾂﾎﾞﾐだったﾁｭｰﾘｯﾌﾟが綺麗に咲いていました。


こんな良い日に卒園式が行われるなんて幸せだ。


卒園生入場。
担任の私は大きく深呼吸。


『卒園証書授与』


私が名前を呼ぶ。
その子へのﾒｯｾｰｼﾞを贈る。

あぁ、何人までもつだろう…なんて考えているうちに。


目の前がどしゃぶり。
外はこの上なく晴れているのに。すごいｷﾞｬｯﾌﾟ。


あぁ無理です。
泣かないなんて強がっていたけれど。


名前が呼べない。
呼んであげないと…。


そんな時。隣で座っていた男の子が、


『せんせー、泣いちゃだめ。がんばれ』


と小声で言った。
いつもふざけたり、突っかかってきていた子どもが。
今までにないくらい真剣な表情で私を励ましてくれたのです。


よし…！がんばれ自分。


ﾏｲｸを握りしめ再び名簿を見据えて。








なんとか無事に全員の手元に証書が渡りました。


子どもたちの歌やお別れの言葉も今までよりも上手で感動…。
いやぁ。本当にうれしかった！


成長してくれてありがとう。
成長させてくれてありがとう。


問題児ｸﾗｽなんて言われていたけれど。


君たちに出会えて本当に幸せでした。